「こころ」


夕闇と夜の一瞬の
狭間に見える、目の先の
空の眩暈の青の青
一面広げたビロードの
高価なようだというひとも
どこかにあると聞くけれど
青い高価なビロードに
雲の陰りの色はなく
飛行機の飛ぶ、その跡の
引っ掻き傷などありはしない
喩えるものなど、どこにあろう
なんとしてもと言うならば
たったひとつは
こころのよう



2006.11.13