「おとぎの歌」


わたしの庭に咲く花は
枝が音叉の様をしていて
服の裾でも触れるたび
わあん、わあん と鳴って、響いて

だから、あなたがわたしの家に
もしも、訪ねて来たいのならば
裸になって髪を切り
そっと、そっと おいでください

ごめんなさいは言いたくないし
頑張らなくて良いんです
だけど、わたしは家を建てたの
音叉の庭を抜けたところに
小さな家を、建てちゃった
わたしの家を、建てちゃった

もしも誰かが音叉の庭を
バレエのようにくぐり抜けたら
ふたりは歌になるかしら
ふわり、ふわりと 泣くかしら

はらり、はらりと 揺れるカーテン。



2009.10.29