賢いオロエン 9



 ところがある日、オロエンは気がつきました。
 自分の身体が、どうも違うのです。
 鱗が残ってないのです。
 オロエンはしまったと思いました。
 ひどく絶望しました。
 なんということだろう!
 彼女への贈り物が、すっかりなくなってしまった!
 こんなことでは明日から、贈り物が出来ません。
 彼女は明日も朝一番に、お池にやってくるはずです。
 なのに鱗はないのです。
 どんなにがっかりさせることかと、オロエンは哀しくて、申し訳なくて、心臓がぎゅうとなりました。
 朝など来ないがいいのにと思いました。
 それでもオロエンは賢いので、夜の次は朝が来るのを知っていました。



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2004.09.25 公開