悪魔の王様 1
彼はとても大きな身体をしていました。
身体が大きいので、胃袋も大きく、口も大きく、目は二つで足りずに八つも、 足も六本や八本で足りずに十二本もありました。
彼は引っ込み思案でした。
暗い闇の中にひとりでいるのが好きでした。
色んなことを空想するのが一番の楽しみでした。
そうしておなかがすくと、暗い闇の中にある得体の知れないものを、手当たり次第に食べました。
おなかがいっぱいになると、寝て、起きて、空想して、また食べました。
暗い闇の中には得体の知れないものが沢山あって、彼は食べるのに困りませんでした。
彼はこの暮らしを愛していました。
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2004.11.26 公開